ペロブスカイト太陽電池関連銘柄を考える会

 ペロブスカイト太陽電池関連銘柄を考える会




銘柄の話まで読み飛ばしても構わないと思います。



ペロブスカイト太陽電池とは


ペロブスカイト結晶構造というヨウ素とか鉛とかメチルアミンとかでできた訳わからん形のやつと電極を並べてフィルムとかガラスで蓋をした感じの太陽光発電システムです。

結晶構造とかいうめっちゃ小さい単位に頼った仕組みなのでフィルムに塗るとか印刷するみたいなイメージです。

結果として薄っぺらいし軽いです。

設置場所を選ばないという長所がありますが、現時点では耐久性が従来の太陽光パネルに劣るという課題を抱えています。

中国が台頭しつつありますが日本も対抗する姿勢です。



なぜ投資対象にするのか?

理由は3つです。


①地政学リスク

中国との関係悪化でレアアースの供給が不安視されています。

現在は落ち着いていますが、米中対立構図が変わらない以上はいつ再燃してもおかしくありません。

ペロブスカイト太陽電池に欠かせないヨウ素は日本が世界シェアの約3割を占めており、特定の国家への依存度が低いです。

現在は中東情勢による原油高がエネルギー不安を煽っている真っ最中であり、平時に生産しておけば非常時に補給が途絶えても継続して発電できる太陽電池の存在感は大きくなると予想します。


②電力の需給状況の不透明感

需要面では先端半導体工場やデータセンター、EVシフト等が電力消費を加速させる可能性があります。

供給面では発電所の老朽化や化石燃料の輸入が途絶えるリスク、原子力発電所が安全性を確保できずに停止する可能性といった不安要素があります。

現時点では将来的に電力が不足する見込みはありませんが、リスクとして意識する投資家は少なくないでしょう。

地震等の災害で送電網が破壊されても生き残った太陽電池で発電することで電力供給が完全には途絶えなくなるという保険としても機能します。


③政策

自民党公約でペロブスカイト太陽電池について明言されています。

2040年までに20GWの導入を目指す。

2035年までに5GW程度を公共施設等で導入を目指す。

期間と量を数字で指定していることからも、かなり実現への意欲が高いと思われます。

自民党内からは目標引き上げ案も浮上したとか。

地政学リスクと電力の先行き不透明感は政府にとっても大きな問題です。

国策として期待して良いでしょう。




銘柄選定

ここからが本題です。

ペロブスカイト太陽電池に関係する銘柄を考えていきます。



積水化学工業(4204)

大本命。

フィルム型で先行しています。

ペロブスカイト太陽電池を既に商品として販売開始しています。

対象はさいたま市、滋賀県、西日本高速道路株式会社、福岡県、福岡市。

そして東京都の都有施設へのAirソーラー先行導入事業。

両者とも金属屋根への設置ということで、ペロブスカイト太陽電池の長所は置いておいて試しに導入しているといった様子です。

千葉大学では農地に設置する取り組みが始まりました。

昨年の時点でNTTデータと共同で壁面設置の工法も改善を進めており、今後は従来の太陽光パネルでは不可能な領域の採用例も出てくると思われます。

直近の決算は特別損失の影響で見栄えは良くないですが売上自体は好調です。

住宅、高機能プラスチック、メディカルなど。

典型的な化学メーカーに住宅事業という個性が乗っているイメージです。

更に16期連続の増配で利回りもイランショックによって約3%まで上がりました。

繰り返しになりますが、やっぱり大本命。



パナソニック(6752)

ガラス型の本命。

建築基準を満たした強度のガラスで太陽電池を挟み込む方式を採用しています。

建材としてのガラスがそのまま発電することになり採用可能なエリアが非常に広いです。

建物が浴びる太陽光エネルギーの一部が発電に使用されるため、遮熱性という副産物も発生します。

発電効率も従来の太陽光パネルに匹敵するレベルに到達しているとのことです。

製品化はまだですが、パナソニックの建屋の窓ガラスで実証実験中です。

問題はパナソニックという企業そのものが構造改革の真っ最中であることです。

不採算部門の切り離しやリストラが発生しています。

家電や車載電池が不調な一方でデータセンター特需は継続する見込みです。

配当利回りは約1.5%と微妙で特に安定している訳でもありません。

正直かなり評価に迷う銘柄です。



アイシン(7259)

薄ガラス型。

現在の売上の大半は自動車部品であり、特にトランスミッションが強いです。

モーター駆動のEVにおいては従来のトランスミッションは使用できず、EVシフトとの格闘中といった状況にあります。

しかし打つ手がない訳ではありません。

電動スライドドア等のEVでも残る製品もあるし、EV向け製品の新規開発も進んでいます。

EVシフト以前からフルラインナップ戦略の企業で、高シェアのトランスミッションだけに依存せず多種類の製品を作り続けてきたことが功を奏していると考えられます。

ペロブスカイト太陽電池においては薄めのガラス型を製品化する予定。

独自合成のホール輸送材とカーボンを採用した電極が特徴です。

これがどれくらいの優位性なのかは専門的すぎてわかりません。

仮に判断できたとしても量産時のコストやリードタイム、参入障壁まで含めて現実的な競争力となるので現時点で気にすることではないと思います。

今見えていることはトヨタとの距離が近いため自動車への搭載においては最有力銘柄であるということです。

実際にNEDOの報告では「ペロブスカイト太陽電池って曲面に対応できるし良くない?小型EVでの1日あたりの走行可能距離を15〜20kmから25〜30kmに上げられるくない??」

的なことも言っているので、車載分野は可能性あると思います。

車載となれば相当高い耐久性を要求されるが重すぎてもメリットが消滅するため薄ガラスというアイシンの方向性は妥当なように見えます。

薄ガラス型が現実的にどこまで曲げられるのかは知らんけど……。

現在は配当利回り約3%です。

安定配当を掲げていてDOE3%としています。

今後3.5%まで上げていく方針です。

積水化学に次いで安心感のある銘柄。



日産化学(4021)

ペロブスカイト層を生産

全体的に優秀であるが故に既に割高感があります。

現在は半導体材料銘柄としても注目されているため半導体の需要量で株価や利益が大きく動くことが予想されます。

更にメイン収入源の農薬は中東情勢の影響で原料となる尿素の価格が暴れています。

配当利回りは3%近く株主還元に積極的ではあります。

ボラティリティが高そうなので乗りこなせる人やメンタルが強くて長期目線の人は良いかもしれません。



リコー(7752)

製造装置と技術。

コピー機などが主力であったがペーパーレスの波に押されてデジタルサービスへ移行中。

頼みの綱の事業転換の先に待っていたのはSaaSの死。

AIに仕事を奪われるのではなくAIを活用できる側であると確信が持てるような情報も出てきません。

明らかに苦境に立たされている雰囲気ではあります。

ただし、その分ちゃんと株価が下がっています。

PBRは0.7を割り込んでおり、ここ数年である程度は回復した業績に対してPER13倍以下。

ペロブスカイト太陽電池に関してはコストダウンへの期待があります。

コピー機がインクを紙に吹き付けるのに近い技術で太陽電池そのものを印刷するような形の工程を目指しています。

さいたま市ではCO2センサーに搭載しての実証実験が始まりました。

室内での実験ということで十分な発電量が得られるなら採用される場面も多いかもしれません。

仮にコストダウンと室内での発電効率の両方をクリアできたなら相当なシェア獲得が見込めます。

JAXAの新型宇宙ステーション補給機に搭載しての実証実験も行われています。

現在の配当利回りは約3%。

ハイリスクハイリターンを受け入れられる方にはオススメの銘柄。



ヒラノテクシード(6245)

製造装置と技術。

コーティング系の機械を製造。

最近ではEV用電池による需要が停滞し始めて受注が減少しています。

あちこちで引き合いがある技術ではあるのでディスプレイや電子材料(ちょっと前に一瞬注目された気がするMLCCとか)方面の需要が下支えしている状況です。

リスク要因として全個体電池においてはコーティングして乾かすという工程そのものが存在しなくなるため、仮に実現すれば脅威になります。

ペロブスカイト太陽電池においては製造装置の開発を進めています。

フィルム型製造装置の実機も公開され、受注活動を開始しています。

完成品の実証実験は複数の企業が発表していますが、製造装置の具体的な動きが見えている企業は珍しいです。

製造装置メーカーであることから、量産立ち上げ時点の他社より早いタイミングで利益が上がってくるかもしれません。

現在の株価は目先の業績が不安視されているため、PER16倍、PBR0.65といった水準です。

一見するとPERは普通ですが減益してからこの数字なので……。

配当利回りは約5%で、DOE3.5%または配当性向60%の高い方を目安としています。

かなり魅力的ですが、EV向け電池の回復に期待できない(あるいは全個体電池に仕事を奪われる)と判断されているからここまで売られているという点は強調しておきます。

ハイリスクハイリターン枠。




他の銘柄

AGCとかカネカとか日本精化とか関わってくる企業はありますが、高配当化学セクターETFみたいになってくるので省略します。

化学系材料メーカーは色々作ってるのが普通なのでペロブスカイト太陽電池への期待だけで投資するのは厳しいです。

化学セクターそのものが原油供給不安で売られ気味なので予算と時間があるなら全部買いでも良い気もしますが。


製造装置関連では住友重機械工業、新明和工業、昭和真空あたりも動きがありそうです。

成功時のインパクトで考えたらリコーやヒラノテクシードの方が大きそうだし、安定性を取るなら積水化学かパナソニックで良いのでは?という絶妙な立ち位置ですね。



ペロブスカイト太陽電池の原料としてヨウ素に注目すると、下記の銘柄も候補になります。

原料銘柄であることからフィルム型とガラス型のどちらが伸びても恩恵があるし、海外での製造に対しても輸出していける可能性もあります。

一方で現時点で既にかなり買われていること、生み出せる付加価値に限度があることには注意が必要と感じます。


伊勢化学工業

ヨウ素のシェアに拘って割高水準でも買いに行くならこっち。


K&Oエナジーグループ

伊勢化学工業に比べたらまだ割安感ある。

LNG期待も背負っているので株価の方向性は読みにくいかも。

安定配当。




番外編

選ばなかった銘柄たち。

あくまでも今回の記事の内容に合わなかっただけで、投資対象として否定している訳ではありません。



環境フレンドリー

ボラが激しい


フジプレアム

業績が悪い


レゾナック

流石に半導体銘柄すぎるし買われすぎ


ENEOSとINPEX

情勢的にヨウ素以外の思惑が強過ぎる




最後に


積水化学が7割

アイシンが2割

ヒラノテクシードが1割

個人的にはこんな感じの買い方を目指したいと思います。

積水化学は明らかに先行気味であり企業としても安定感があるため比率高め。

ガラス型が強かった場合に備えてアイシンを少し。

冒険枠でヒラノテクシード。

といった目論見です。

積水化学は真っ先に株価が上がっていくと思われるため最優先で確保し、残りはタイミングを見て拾っていきたいです。

EVシフトが急速に進むことはアイシンにとっては逆風ですがヒラノテクシードにとっては利益になります。

逆にEVシフトが鈍化すればアイシン有利でヒラノテクシードは厳しくなる。

両方買えばEVシフトという外部要因に対して多少はヘッジをかけられるかもしれません。


もちろんどのような目論見でポートフォリオを組むのかは人それぞれです。

積水化学の比率を下げるなら他の化学メーカーを入れる余地もあるでしょうし、パナソニックでも入れてガラス型とフィルム型の比率を半々くらいした方が安全ではあるかもしれません。

厳しい情勢ですが細々と買っていきましょう。


余談ですが私の職場でも製造装置用の作動油が入ってこなくなりました。

今後もあれが足りないこれが足りないとニュースが出ては無駄に株価が下がってすぐに戻ることがあるかもしれません。

ボラティリティに負けず頑張りましょう。


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