雇用統計で暴落した米国株。個人投資家はどう受け止めるべきか?
雇用統計で暴落した米国株。個人投資家はどう受け止めるべきか?
雇用統計を受けて久しぶりに米国株が大きく下落し、月曜日の東証もマンデー確定演出の日曜日となっています。
苦しい状況ではありますが情報を整理して落ち着いて対処していきましょう。
第1章:急落の理由を整理する
・何がきっかけで下落が始まったのか
事の発端は雇用統計が強すぎた(ポジティブサプライズ)ことです。
インフレと利上げのリスクが注目されてハイテク株を中心に売られました。
マイクロンやサンディスクなどAI特需を受けていた銘柄が10%以上下げてエヌビディアも6%、アルファベットは耐えて1%しか下げていません。
本当に金利高に耐えられずに設備投資が鈍るなら、必要な投資ができなくなったアルファベットも被弾することになりそうですが……そこは純粋に信用が違うということでしょうか?
• 中東情勢と原油高のファクトチェック
「中東リスクで原油高➔インフレ」のニュースは3ヶ月前から変わっておらず、金曜日に急変したわけではありません。
現時点で中東情勢が解決していないのだから過去の数字である雇用統計がインフレ方向なのは当然の結果です。
想定を大きく上回っていたのはわかりますが、そもそも我々は中東情勢が落ち着いていずれ原油価格が下がってくるという見込みで株を買っていたはずです。
原油価格が下がらないままなんとなくインフレが抑制されるとは誰も考えていないでしょう。
本来は中東情勢の悪化によって株を売るべきであり、今回の下落は少し焦点がズレているように感じます。
• 本質は単なる調整か?
ハイテク・半導体を中心に過熱感があったため、市場が下がるための理由を探していただけではないかと思える状況です。
10%を超える下落幅だった銘柄は大半が直近でのボラティリティが高くて最高値圏からの下落です。
マグニフィセント・セブンの各銘柄はここから更に20%くらい下げないと3月末から4月頭の安値を割りません。
一度調整が降ってくること自体は何も不思議ではない水準です。
第2章:マクロの視点:トランプ大統領とFRBはどう動くか?
• 金利の限界
米国の金利は既に3.75%と高めの水準です。
今回の雇用統計は0.50%刻みでの利上げを許容する数字には足りないでしょうから、利上げがあったとしても4%までというのがメインシナリオになると考えられます。
• トランプ大統領の動き
トランプ大統領は明らかに株式市場を意識しています。
しかしイランとの開戦後には株価はもっと下がると思っていたとまで発言しており、一時的な下落は受け入れている様子。
インサイダー上等の人なので株価が下がって買い増したところでイランとの完全終戦に踏み切る強い動機があります。
• FRBの心理
場当たり的な利上げの後でトランプ氏の政治主導によって「終戦➔原油安」と手の平を返されるリスクはFRBも承知しているでしょう。
物価が政治の動向によって激しく揺れる中では利上げも利下げも踏み切りにくく、現状維持を選びがちな局面にあるのではないでしょうか。
第3章:ミクロの視点:AI・ハイテク企業の決算はむしろ明るい
• ファンダメンタルズはむしろ強い
雇用統計の強さは経済の強さにつながり、企業の次の決算が上振れる可能性を示唆しています。
むしろ普通に考えたら雇用統計が強いのは株価にとってプラス要因です。
今回はインフレリスクによる下落から回復して上昇に転じたタイミングだったことによる不安感が先行したようです。
• アルファベットは強気
アルファベットの2026年の年間設備投資額(CapEx)は1,800億〜1,900億ドルに達する見込みです。
これは2025年の約2倍であり、2027年は2026年を大幅に上回る投資を行うと予告しています。
決算を見てもクラウドの売上は前年同期比+60%、広告とサブスクも+20%と大きく伸びており明らかにAIが売上に貢献しています。
もちろんアルファベットの設備投資は金曜日により大きく下落したような銘柄の売上となります。
• 設備投資レースの破綻リスク
アンソロピックとアルファベットはスペースXから計算資源を借りるリース契約を結びました。
この契約の本質は量でも金額でもありません。
どの企業が所有する計算資源も製造しているのはエヌビディアなのでスムーズに移行することが可能であるという点です。
ハイパースケーラーの投資競争から仮に脱落者が出ても、その計算資源は他社が買い取るだけです。
AI開発競争から脱落する企業が出ればAI需要の受け手が減ります。
結果として生き残った企業はより高い投資額が許容されます。
問題は計算資源の総量が足りた場合にはそこでAI特需が一服することですが、現状からすると今年意識すべきリスクとは思えません。
むしろ計算資源が不足してAIの能力が頭打ちになるリスクの方を注視すべきだと思います。
結論:個人投資家はどうする?
• 変わったのは投資家の心理だけ
市場のファンダメンタルズは悪化していません。
次の好決算で買い戻すくらいなら今手放すべきではありません。
• アルゴには勝てない
終戦ニュースが流れた瞬間、アルゴリズム取引が一瞬で株を買い上げます。
それがいつになるのかはトランプ大統領でさえ完全にはコントロールできません。
つまり現在の空売りは時限爆弾付きなので不発に終わるという確信がないのであれば全面的に推奨しません。
ザラ場を監視できない兼業投資家はもちろん、常時張り付きの専業投資家でさえアルゴの速度には勝ち目がありません。
個人投資家が終戦株高の恩恵を受ける唯一の方法はポジションを持ち続けることです。
・リスク管理を最優先
これまでポジションを持ち過ぎていたなら話は別です。
最悪のタイミングで絶望感に負けて全投げするくらいなら、月曜の寄り付きで自分が冷静になれる水準までポジションを落とすべきです。
月曜日の気配値を見てからではなく、今すぐに成行で売り注文を入れておけば少しだけ早く売れる可能性があります。
私も念のために手持ち銘柄は全て成行売り注文を入れてあります。
追加で悪いニュースが流れて来てファンダや中東情勢が崩れるようならこのまま売却して、そうでなければ注文取り消しです。
本当は毎週末どころか毎日こうするべきなのかもしれませんが、流石にオペレーションミスが怖いので今週末だけに留めます。
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